2008/03/10 [11:57] (Mon)
宙に投げ出された肢体は、そのまま激しく地面に叩き付けられた。
叩きつけられた当人はその衝撃に声をあげ、噎せ込む。
「向かって来た時は威勢がよかったのにねえ。もうお仕舞いかな」
その様子を見下ろしながら、魔術師が微笑み。
衝撃で四肢を動かすことの出来ない猛毒王は、ただ目で睨み上げた。
その目に「、っと」と小さく魔術師は口元に充てていた手を下ろす。
「そんな目でみないでおくれよ、猛毒の王。
高が人間の身とて、その目が見ている景色は
僕らの理解の範疇を超えているのだから―――」
――高が人間。脆く儚い生命の種。
其れがその身に猛毒を宿したとて、遥か高みの我等に届く筈も無く。
所詮は無意味。どんなに強い毒とて、届かなければ価値等ない。
故に彼らは 高く遠い其れに憧憬と畏怖を覚える他無く――
「…?」
声が、聞こえた。
とても小さく、消え入りそうな声。
見下ろす人間から発せられている事に気づくのに、数秒も要らず。
「どうかしたのかい?」
ああ、痛いのかい、傷いのかい、と優しい声色で囁く。
ゆっくりとした動作で近寄り、膝を折る。
「何かいいたいなら、云うといいよ。自分で発することのできる最後の言葉くらい、きいてやれるからね」
魔術師は相変わらず笑みを浮かべたまま謂う。
猛毒王、とよばれたソレは視線を彼へと辿らせて。
「… 為り、 損な い」
++++++++++++
禁句(キーワード)は誰しもがある話。
幻想種が一『大魔術師』と『猛毒王』の話。
ちょっと地面に盛大に叩きつける描写があるので注意。
ちょっと地面に盛大に叩きつける描写があるので注意。
宙に投げ出された肢体は、そのまま激しく地面に叩き付けられた。
叩きつけられた当人はその衝撃に声をあげ、噎せ込む。
「向かって来た時は威勢がよかったのにねえ。もうお仕舞いかな」
その様子を見下ろしながら、魔術師が微笑み。
衝撃で四肢を動かすことの出来ない猛毒王は、ただ目で睨み上げた。
その目に「、っと」と小さく魔術師は口元に充てていた手を下ろす。
「そんな目でみないでおくれよ、猛毒の王。
高が人間の身とて、その目が見ている景色は
僕らの理解の範疇を超えているのだから―――」
――高が人間。脆く儚い生命の種。
其れがその身に猛毒を宿したとて、遥か高みの我等に届く筈も無く。
所詮は無意味。どんなに強い毒とて、届かなければ価値等ない。
故に彼らは 高く遠い其れに憧憬と畏怖を覚える他無く――
「…?」
声が、聞こえた。
とても小さく、消え入りそうな声。
見下ろす人間から発せられている事に気づくのに、数秒も要らず。
「どうかしたのかい?」
ああ、痛いのかい、傷いのかい、と優しい声色で囁く。
ゆっくりとした動作で近寄り、膝を折る。
「何かいいたいなら、云うといいよ。自分で発することのできる最後の言葉くらい、きいてやれるからね」
魔術師は相変わらず笑みを浮かべたまま謂う。
猛毒王、とよばれたソレは視線を彼へと辿らせて。
「… 為り、 損な い」
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禁句(キーワード)は誰しもがある話。
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